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依田 真一; 奥 達雄; 向後 保雄*
炭素, 114, p.103 - 109, 1983/00
原子炉用微粒等方性黒鉛材料(IG-11)の圧縮予応力負荷に伴うヤング率、電気抵抗、曲げ強さの変化を圧縮応力負荷方向とこれと垂直な方向について調べ、検討した。これは、ガス炉の炉心部、炉床部に使用される黒鉛材料の多くが、単軸圧縮応力を負荷された状態にあり、地震による曲げ応力の発生に対していかなる影響を被るかを明らかとする事に注目した問題である。主な結果は次のとおりである。(1)圧縮予応力負荷方向の試料は、0.4f(f:圧縮強さ)までの予応力負荷において、ヤング率の変化は認められないが、電気抵抗は約10%減少する。また曲げ強さは、0.4fまで増加し、その後低下する。この時ヤング率は急激に減少し、電気抵抗は、逆に増加する。(2)予応力負荷方向に対し垂直な試料では、ヤング率は予応力の増加に伴ない減少する。曲げ強度は、0.2f以上で徐々に低下する。また電気抵抗は、予応力の増加に伴ない増加する。以上の結果を基に、黒鉛の圧縮変形モデルを提案した。
奥 達雄; 衛藤 基邦
Carbon, 11(6), p.639 - 647, 1973/06
被引用回数:20数種の原子炉用黒鉛のヤング率、引張強さ、圧縮強さに及ぼす圧縮予応力の影響を検討した。室温引張、圧縮強さについては10~10secの範囲のひずみ速度の影響も調べた。圧縮予応力の増加にともないヤング率と引張強さは減少することが明らかとなった。しかし、圧縮強さは予応力およびひずみ速度によってほとんど変化しなかった。予応力の増加にともなうヤング率の減少の原因としては、予応力の増加にともなう転位密度の増加とクラックの生成伝播の二つが考えられるが、予応力の増加にともないクラックが顕微鏡的に直接観察されることと、クラック生成にもとづくヤング率への寄与に対する計算結果との対応から、ヤング率の減少はクラックの生成、伝播によってよく説明できるように思われる。